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ABS情報

MGL モンゴル

最終更新日:2021年3月29日

生物多様性条約 締約国(1993年12月29日)
名古屋議定書 締約国(2014年10月12日)
食料農業植物遺伝資源条約 締約国(2018年12月02日)

概要

・ABSに関する国内法は未だ整備段階にあるが、遺伝資源の利用・国外持出しについては既存法等に従った手続きが必要。
以下「手続きの方法」において、一般的な手続きの流れを示す。
・ABSに関する手続きは、関連法令の整備と行政業務の電子化に伴い今後変更されることが予想されるため、随時最新情報
を確認することが勧められる。

手続きの方法

以下に、モンゴル遺伝資源をモンゴル国外へ持ち出す場合の一般的な流れを示す。
なお、各書類名に付されたアルファベット(a)-(f)は、説明の都合上振られたものであり、書類名の一部ではない。
また下記手続きは、基本的にモンゴル側が実施する。

1)共同研究契約書(a)を締結する
契約の際、両国、特にモンゴル側の研究機関の知的財産ポリシー、技術移転規則などの遵守が求められる。
事前に、両国の研究機関の規則を確認することが望ましい。

2)遺伝資源を取得する
契約締結者は、共同研究/事業を行うことにより遺伝資源を入手する。
試料採集には、地方行政機関等の担当者が同行することがある。

--- 以降、入手した遺伝資源のモンゴル国外への輸出手続き ---

3)モンゴル商工会議所から原産地証明書(b)を取得する
モンゴル商工会議所に下記書類を提出し、原産地証明書(b)の申請を行う。
FORM A(モンゴル商工会議所指定の申請書)
・送り状、パッキングリスト
・モンゴル側法人の法人登録証(c)の写し
・当該遺伝資源に対して取得した特別許可(ある場合)、品質保証、衛生検査証明書など
・手数料

4)環境保全観光省発行の遺伝資源輸出許可書(d)を取得する
4-1)環境保全観光省に下記書類を提出し、遺伝資源輸出許可証(d)を取得する。
・願書(特定の書式はないが、モンゴルとの共同研究を実施するに当たりモンゴルの遺伝資源を日本に輸出する許可
を求めることを記載する)
・輸出しようとする遺伝資源の学名とモンゴル語名、数量等(上述の願書や採取・分離報告書で記載しても良い)
・共同研究契約書(a)の写し
・原産地証明書(b)(必要な場合)
・モンゴル側法人の法人登録証(c)の写し
・その他必要書類(例:地方行政機関が発行した原産地証明書、採取・分離報告書)

4-2)手数料・印紙の支払いを行う(2,500MNT+12,500MNT)。
チンゲルテイ区税務署で「環境保全観光省に支払う印紙税」の支払の申請を行い、請求書を受取り、 請求金額を
銀行で支払う。

4-3)上記の支払いの領収書を環境保全観光省の窓口に提出し、遺伝資源輸出許可証(d)を受け取る。

5)政府専門検査機関から輸出許可(e)を取得する
政府専門検査機関(Specialized Inspection Agency)に下記書類を提出し、輸出許可証(e)を取得する。
・願書(特定の書式はないが、モンゴルとの共同研究を実施するに当たりモンゴルの遺伝資源を日本に輸出する許可
を求めることを記載する)
・輸出しようとする遺伝資源の学名とモンゴル語での名称、数量等を明記(採取・分離報告書を添付しても良い)
・共同研究契約書(a)など
・モンゴル側法人の法人登録証(c)(必要であれば、日本側の法人登録証)
・手数料支払い(20,000MNT)(政府専門検査機関の指定口座に入金)

遺伝資源の種類によっては、検疫検査機関の証明書の提出が必要な場合があり、提出の要否については政府専門検査機関
に確認する。また、政府専門検査機関では、遺伝資源の国外持出し方法について明示する必要がある(エアカーゴ、DHL
等の国際エクスプレス、渡航時の携帯など)。

6)遺伝資源を国外へ持ち出す
税関窓口に下記書類を提出し、関税庁発行の輸出許可書(f)を取得する。
・共同研究契約書(a)
・モンゴル商工会議所発行の原産地証明書(b)(ある場合)
・法人登録証(c)
・環境保全観光省発行の遺伝資源輸出許可証(d)
・政府専門検査機関発行の輸出許可証(e)
・遺伝資源の種類、数量、パッキングに関する情報
・携帯による持出しの場合、携帯する者の航空券予約書
・その他必要書類

携帯による持出しの場合、出国時に、モンゴル商工会議所発行の原産地証明書(b)(ある場合)、環境保全観光省発行の
遺伝資源輸出許可証(d)、政府専門検査機関発行の輸出許可証(e)、関税庁発行の輸出許可証(f)、遺伝資源を関税担当
者が確認後、国外へ持ち出す。国際空港などにおいて、関税担当者による審査・確認は時間がかかるため、出発前に
十分な時間を確保する必要がある。

また、モンゴルの大学や研究機関が所有するサンプルについては、当該大学/研究機関が当該サンプルを取得した際の
原産地証明書や、政府から取得した特別許可である輸出許可などを有するサンプルであるかを事前に確認することが
必要。特に、古いサンプルに関してはトレーサビリティを有さない可能性があるので要注意。

関連法規など

1)野生植物に関する法律 NITE仮訳(外部リンク)
Байгалийн ургамлын тухай хууль 原文
→遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する規程は無いが、第11条1において、個人や企業が特に稀少な植物および稀少
な植物を研究調査目的で利用するための許可を中央行政機関が与えることを規定している。また第17条によると、植物
の国外持出し許可は国の中央行政機関が与えること(第17条1)、また、外国人や外国企業はいかなる目的においても
野生植物の採集が禁じられてること(第17条2)等が定められている。

2)天然資源利用料に関する法律 NITE仮訳(外部リンク)
Байгалийн нөөц ашигласны төлбөрийн тухай хууль 原文
→第19条において、個人、企業、機関が稀少な植物および豊富な植物を研究調査目的で利用する場合、野生植物の利用
料が減税されることが規定されている。

3)家畜遺伝資源法
Малын генетик нөөцийн тухай хууль 原文
→家畜遺伝資源の登録、識別、保存、保護、持続可能な利用および研究に関する規制のために制定された。遺伝資源へ
のアクセスと利益配分に関する規定はない。家畜遺伝資源を利用する場合、特別許可書が必要。

連絡先

ABSについての国内の中央連絡先(National Focal Point:NFP)および
権限ある国内当局(Competent National Authority:CNA)
https://absch.cbd.int/countries/MN

その他

・生物多様性国家プログラム2015-2025
Биологийн олон янз байдлын үндэсний хөтөлбөр 原文
→モンゴル遺伝資源へのアクセスと利益配分に関しての法律を整備することについて言及されている。
本プログラムによると、2025年までに国内法を整備することを目指している。

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