遺伝資源利用に関するアクセスと利益配分は複雑であり、未確定の要素も多い。生物多様性条約は概念的であり、その解釈には利害関係のため相反することも多い。さらに各国がそれぞれ固有の事情を織り込んだ国内法を定めているため、その規則、方法もそれぞれの国で異なる。したがって、個々の遺伝資源利用案件に応でた対応を利用実施者に求めている。
しかし、学術研究を実施している当事者は深い専門的知識もなく、法的な訓練を受けているわけではないので、解釈が分かれることについて自身で答えを見出すことは困難である。また、研究は未知の領域を切り開くことなので、過去の事実の上に組み立てられた理論では判断できないことも多い。そこで、当事者が自身で判断しやすいように、過去に寄せられた疑問とそれに対する回答集を作ることにした。遺伝資源利用研究を行う際によく遭遇する疑問をまとめ、共通する部分について回答を試みた。類似する疑問と回答から、自身の疑問の回答を考察するために有用であると考えられるからである。ただし、ここでの回答は、秘密保持の関係で一般化しているため、個々のケースで内容が変化することは十分あり得ることである。したがって、ここに示す回答はあくまで、参考であり個々のケースに適応させることが肝要であると考えられる。
遺伝資源利用研究のための 遺伝資源アクセスと利益配分に関する質問と回答 |