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遺伝資源取得の事例:九州大学

提供国基礎データ 国の状況:
CBD,NPの加盟国      加盟国
CBD,NP関連の国内法    あり
IRCC発番の規定       あり
1 タイトル ベトナムからの植物サンプルの取得(共同研究)
2 国名 ベトナム
3 遺伝資源の種類 植物(乾燥品)
4 提供機関 国立研究機関(収集は提供機関が実施)
5 契約内容 研究を企画。その必要な材料がベトナムにあり、共同研究可能な相手を探索。すでにMOUを締結している国立研究所との共同研究可能性を打診。相手研究機関も研究に興味があり、共同で実施することとなった。
・研究内容について、目的、期待される結果、成果の波及効果など詳細に議論し、どのようなことで、双方にメリットがあるかを明確にした(間接的利益配分に相当する議論であるが、利益配分という用語は使わない )。
・共同研究契約は、通常の海外との共同研究契約雛型に基づき、特段の利益配分などについて明記はせず。
・研究材料の授受については、共同研究契約に記載し、授受毎に別途締結するMTAでその使用や取扱いを定めることになった。

1共同研究は本来双方のメリットがあることから進めるため、研究成果の議論は自然な議論と考える。しかし、あまりにCBD,NPを意識するあまり、利益配分に焦点を当てることにより、より利益追求の議論となり、研究を進める上でも有意義ではないと考える。

6 政府許可 ベトナム省令により、研究機関からの提供は、日本側からベトナム政府の許可は不要となる(省令第20条)。下記図は、ベトナム研究機関や学生が、海外研究機関との共同研究のためや、学位取得のための研究材料として海外に遺伝資源を持ち出す際の手続きを示す(ベトナム環境省発行の“Access and Benefit-sharing in Viet nam”より転記)。
7 手続き期間 相手研究機関との研究打ち合わせ:2回の渡航
提供機関との共同研究契約締結期間:5ヶ月未満
提供機関の持ち出し許可:1ヶ月以内(MTAの締結期間)
8 関係した法律・規制 ベトナム:
ベトナム省令
No.: 59/2017/NĐ-CP
 
日本:
植物防疫法
ハンドキャリーで持ち帰ることになったため、持ち込みの際に、入国空港の植物防疫カウンターにてサンプル名、処理方法(熱風乾燥等)、サンプル詳細情報(種属)等を提示し、許可のスタンプを取得して、税関を通過。

(遺伝資源取得のポイント)
 
1.海外研究機関との共同研究には、基本的にMOUなどの機関間(もしくは学部間)の包括合意が必要である。ある程度、締結に時間が係る(双方の学内の締結承認やMOU内容の打ち合わせ等)ので、十分な計画が必要である。
 
2.研究を実施する前に、研究目的、期待される成果、その波及効果など十分に議論し、特許出願も考えているようであれば、特許出願に関する取り決めも議論すべき。それは、CBDやNPに基づき利益配分というより、共同研究における公平な条件を取り決めるためのものであることに注意する。過度な利益配分は、他の研究機関の契約にも影響する可能性があり、十分に配慮・注意すべき。
 
3.サンプル収集のために、国内法の確認を行う必要がある。共同研究相手が十分に国内法を理解してない可能性もあり、事前のチェックが必要。今回の場合、国内法があり、明確な記載があったので、それに即した形で遺伝資源の入手を進める事が出来た。

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