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ABS情報

三重大学

三重大学は、県内で唯一の国立大学等であり、また県内で唯一、医学部(附属病院)、理工系学部を有する大学等である。ABS対応が必要になり得るのは、主に医学系(医学部附属病院を含む)、工学、生物資源学、地域イノベーション学の4つの研究科に所属する568名の教員である。

三重大学は、文部科学省の平成27~29年度「産学官連携リスクマネジメントモデル事業」に採択されている。これは、大学等が産学官連携リスクマネジメント体制を構築する際のモデルとなるような取組体制・システムを構築するとともに、このモデルを全国的に普及させることを目的とした事業である。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1367387.htm

三重大学では、学長の下に「地域イノベーション推進機構」が置かれ、同機構に「産学官連携リスクマネジメント室」(以下、リスクマネジメント室)が設置されている(室長は研究を担当する副学長)。リスクマネジメント室が大学等全体の産学官連携リスクマネジメントを担当し、現在の主要な業務である「秘密情報管理」、「安全保障貿易管理」、「利益相反マネジメント」に加えて、今後「生物多様性条約対応」にも対応する。このためABS対応体制は「生物多様性条約ありき」、ではなく「リスクマネジメント」の視点から構築されている。

リスクマネジメント室は、大学等が直面する可能性がある様々な「リスク」を一元的に管理ができるため、教員一人に対して多面的なサポートを行うことが可能である。そこで現在、「安全保障貿易管理や秘密情報管理からは問題ないが、遺伝資源としてはどうなのか?」というトータルリスクマネジメントついての検討を進めている。また、生物多様性条約に対応するためにはマンパワーが必要となるが、学内一次調査(海外遺伝資源の取得・使用に関するアンケート調査)および学内二次調査(ヒアリング)に基づき、濃淡管理・機微度に応じた管理が可能なのかについても検討を進めている。

今後、検討を進める課題として以下の点を考えている。1. 機関内ABS委員会を設置するかどうかについて検討する。2. 安全保障貿易管理・秘密情報管理などについては、リスクマネジメントのためのチェックシート等の様式を整備しているが、同様にできるだけ簡単な手続きでABS対応を進めることができるような書類を準備・整備したいと考えている。3. 研究者が、海外遺伝資源の取得・使用の計画段階で簡単な計画書(遺伝資源の種類、提供国、カウンターパート(その有無を含む)等を明記)を大学に届け出た上で、研究者との連携、役割分担を進める。(リスクマネジメント室は案件管理、PIC/MATなどの文書作成のサポートを担当し、研究者にはPICの取得を担当してもらう。4. 研究者は、海外遺伝資源を取得後、大学へその取得に関する届出(計画書の内容に加えて、保管場所、管理責任者、アクセス者等を明記)をおこなう。

図1 三重大学 学内体制(案)

(2017年4月初版、2019年10月改訂)

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