生物多様性条約発効後採取した植物の研究を行い論文発表したいが、生物多様性条約上注意すべき点はなにか?論文発表用にPIC/MAT取得の確認を行うべきか?
1993年以降の遺伝資源の採取と移転には、提供国の許可を事前に受け、当事者間で合意があることが原則である。したがって、遵守の証としてPIC/MATの確認は論文発表の際に必要である。
問題はPIC/MATの確認が取れない場合である。PIC/MAT取得状況がどの程度によって判断する、リスクアプローチを取るのがよいと考える。遺伝資源入手についてなにも証拠がない場合はリスクが高いと判断され、論文発表は困難である。次に、提供国内に共同研究者が存在し、遺伝資源採取の際MATを締結している場合が一番多いケースと思われる。この場合、ある程度の誠意ある態度を提供国側に見せているので、リスク度は低くなる。研究成果の学術的重要度にもよるが、成果が提供国にとってなんらかの利益があると考えられる場合、論文発表した後、提供国にすべての成果報告を共同研究者とともに報告するのがよいと考える。学術研究であり、金銭的な利益を生まないことの証明となる。できるならば、研究成果を利用して提供国で研究発展できないか提案するのもよい。