日本国内起源の遺伝資源で日本人の所有者がいない場合、米国研究機関への移転は民事契約で貸与・譲渡可能がカナダの研究機関への移転はカナダのABS国内法に従うのか?
日本国内起源の遺伝資源には日本の主権的権利が及ぶ。日本人の所有物でないということは野生のものと理解するが、国立公園等の保護地域外でアクセス可能なものと判断する。この場合、だれでも利用でき、国外への移動も可能である。日本は生物多様性条約に批准しているので、その規則に従う必要がある。
日本には生物多様性法という国内法はないし、アクセス許可制度は作らないという決定があるので、日本の遺伝資源を海外へ移転する場合には、政府の許可は必要ないことになる。今回は、所有者のない野生のものであるので、特に契約も必要ないと考える。ただし、日本、米国、カナダにはそれぞれ植物、動物検疫法があり、輸出入の場合検査を受けなければならない。したがって、移動する遺伝資源に関する情報を供与する必要がある。
日本国内の主権的権利の及ぶ遺伝資源なので、カナダのABS国内法に従う必要はない。ただし、カナダには野生動物・植物保護法があり、野生動物・植物の不正移動、輸入が禁止されている。したがって、カナダの研究所に遺伝資源を移動させる際に、不正入手でないことを証明する書類を添付することが必要である。