国内にある遺伝資源を海外の第三者に移転する場合の手続きは?
日本には、国内の遺伝資源に関するアクセスと利益配分を定めた法律はありません。しかし、遺伝資源に関連する農林水産省、環境省での法令、知的財産権に関する法令、輸出入規制法令など、部分的・間接的に関係する法令があるので、注意が必要です。
もちろん、生物多様性条約批准国である日本でも、条約に沿った条件でしか国内遺伝資源を持ち出すことはできません。日本のナショナルフォーカルポイントである環境省に問い合わせることが必要です。
このことは、生物多様性条約のアクセスと利益配分に関する法令のない国でも同様なことが言えます。例えば、中国では、家畜法にアクセスと利益配分に関する条項があります。アクセスと利益配分の法令がないからといって、自由に遺伝資源を持ち出すことは許されていません。日本国内にある遺伝資源は、固有種も多く日本にとって価値のある貴重な資源です。法令にないからといって、研究者所有の日本の遺伝資源を無制限に海外の第三者に移転することは慎重に行うべきであると考えます。移転先と移転契約を締結し、その中で提供国としての正当な利益配分を確保することは必要です。