生物多様性条約発効までに取得したもので、その利用が条約後に行い成果が条約後に出たものについて、名古屋議定書に縛られないと考えてよいのか?
1993年12月以前に入手し、利用したものであれば、条約の対象外であると考えられます。ウイーン条約で、条約発効以前については及ばないとされているからです。念のため、1993年以前に取得し、利用した証拠を保管すべきです。
EU規則議論過程で提出された欧州連合議会の修正案や、また2015年3月に成立したフランス生物多様性法では、生物多様性条約発効以前に取得したものでも、利用を開始した時点が2015年3月以降ならば、ABS規定の適応を受けるという条項があります。また、名古屋議定書第10条の拡大解釈で条約以前入手を含めることを考えている提供国があります。日本の国内措置あり方検討会においては、入手と利用が条約以前ならば遡及すべきではないと結論しておりますが、条約以前に入手したものを条約以後あるいは名古屋議定書批准後に利用したものについて議論していない。今後の政府内の議論を注目したい。