提供国内研究者の生物多様性、国内法令や手続の認知はどれくらいがPIC取得手続きを知っている研究機関はどれくらいあるか?
一般に提供国の国内研究者でアクセスと利益配分制度を知っている研究者、研究機関は少ないと思われる。提供国で海外との共同研究を行っている研究機関や研究者かが少ないことが理由の一つであるが、提供国関連機関の啓発・能力開発が進んでいないことも理由としてあげられる。ある提供国では、啓発活動を大学等で行ってほしいという要望さえある。
ただし、一度海外との共同研究を始めると、提供国内での申請ルートが開拓され、システムが確立するので、その後はスムースに行える。したがって、新たな分野で申請ルートを開発するのに時間かかるが、一度経験すると、その後は比較的スムースにPIC取得が可能であると考えらえる。
初めて提供国にアプローチする場合、日本の中で経験者がいないか探すのが最も早いやり方と思われる。あるいは、提供国のABS情報サイト等でよく名前の出てくる研究者を特定し、その方に適当な研究者を紹介してもらう方法もある。ABS情報通ならば、政府関係者と情報交換している可能性が高いので、最新情報を入手できる。
全くABS情報が入手できない提供国で遺伝資源利用研究活動を行う場合、長期戦で計画的に行うことを薦める。提供国の共同研究者を特定し、能力開発としてABS教育を始めなければならない。そのための教材は多い。次に、PICやMATの書類作成について提供国政府機関と交渉してもらうため、標準書式などを送付して共同研究者を説得する必要がある。このように準備を十分に行えば、時間はかかるが確実なPICとMATを取得できると考える。