名古屋議定書は発効したが、それ以前の行為について適用されないと理解してよいか?
条約法に関するウイーン条約では、条約発効以前の行為に及ばないとしている。したがって、名古屋議定書の規定はそれが発効した2014年10月12日以前の行為には適用されない。生物多様性条約は1993年12月に発効しているので、それ以後の行為に効力が及ぶ。名古屋議定書は生物多様性条約の目的のひとつを実行するために作られたものである。
1993年から2014年までは、名古屋議定書ではなく生物多様性条約の規定に従う。生物多様性条約にはすでにアクセスと利益配分が決められており、1993年12月以降の遺伝資源のアクセスにはPICとMATが必要である。これらの要件の実行性を高めたのが名古屋議定書である。2002年に作られたボン・ガイドラインが名古屋議定書と同様の方法が示されている。
現在は名古屋議定書が発効しているので、日本が名古屋議定書に批准していなくても、名古屋議定書批准国で遺伝資源採取やその移動には、名古屋議定書及び批准国の国内措置に従わなくてはならない。