生物多様性条約の目的である「遺伝資源の取得の機会、およびその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」 の実効性を高めるために決められた国際的なルールが「名古屋議定書」です。
「名古屋議定書」への批准で、これまでと何が変わったのでしょうか?
名古屋議定書が批准されたことによって、締約国である日本に以下の3つの義務が課されました。
提供国法令を破り訴えられた場合や、ABSに関する手続きを踏んでいない場合など、もしも国内措置の不遵守に該当すれば、利用者に何らかの処置が課されるようになります。
名古屋議定書を守って、外国の遺伝資源を研究に使用するためには、1)提供国法令の遵守、2)ABSに関する手続き、が必要となります。
ところで、金銭的な利益が生じない基礎研究>もABSの対象になるのでしょうか?
金銭的な利益が出ない基礎研究であっても、基礎研究も名古屋議定書の例外ではなく、ABSの対象となります。
基礎研究の場合は、金銭的な利益ではなく、例えば共著論文の発表、技術の移転、教育の機会の提供などの非金銭的利益によって利益配分を行います。利用国の研究者は、ABSの仕組みによって、海外の遺伝資源によって自身の研究を進めることで科学を前進させるのみならず、非金銭的利益の還元によって、提供国の科学・教育レベルの向上、地域の発展にも貢献することになります。
名古屋議定書 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000236481.pdf
説明書 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000236483.pdf
英文 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000236482.pdf
外務省案内ページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/st/page23_001940.html