遺伝資源とは何か?
遺伝資源とは?
生物多様性条約で、遺伝資源は「遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物、その他に由来する素材のうち、現実の、又は潜在的な価値を持つもの」と定義されています。要は、生物(+ウイルスなど)です。生物が含まれる水や土壌などの環境サンプルも含まれます。外国に由来する遺伝資源を研究の目的で使用する場合、ABSに関する手続きが必要になります。提供国の法令に従わない取得や使用はあなたの研究、さらに日本の科学全体にとって重大なリスクとなり得ます。以下に、ABSの対象になるものとならないものの例を示します。
注意:一般的には以下の理解で良いと思われますが、各国の国内法で遺伝資源の定義は様々に異なり、全ての国でこの内容が当てはまる訳ではありませんのでご注意下さい。(「遺伝資源」ではなく、「遺伝財産」というさらに広い範囲を対象とした概念を持つブラジルなどのような国もあります。)ご不明な場合は、ABS窓口相談よりご相談下さい。
ABSの対象になる
- 動物、植物、微生物(ウイルスを含む)の個体やその一部(生死に関わらず、凍結や乾燥したサンプルも含みます。)
- 遺伝資源の利用についての伝統的知識(薬草の効果など)
- 注意
- 生物から抽出されたDNA/RNAもABSの対象となります。「DNA/RNAなので大丈夫」は大きな誤解です。これらを研究に用いる場合、海外に持ち出す場合はABSに関する手続きが必要となります。
- たんぱく質、代謝産物などは派生物として扱われます。これらは生物多様性条約、および名古屋議定書では遺伝資源には含まれていませんが、派生物をABSの対象として国内法の規制の対象としている国も多く注意が必要です。
ABSの対象にならない(場合が多い)
- 遺伝子配列情報(注:ブラジル、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど、配列情報をABSの対象とすると定めた国内法を持つ国も多数あります。)
- 人工合成されたDNA/RNA
- 公海の海洋生物(詳しくは、よくある質問とその答えを御参照下さい。)
- ヒト(人類)の遺伝資源 (腸内細菌や寄生性・感染性の生物などはABSの対象となります。中国は国内法でヒトもABSの対象としています。)
- 生物多様性条約の非締結国の遺伝資源(これらの国にも遺伝資源を保護する法令がありますので対応は必要です。詳しくは、よくある質問とその答えを御参照下さい。)
- 生物多様性条約発効(1993年12月29日)以前に入手した遺伝資源(詳しくは、よくある質問とその答えを御参照下さい。)
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